新型コロナウイルスに感染した妊婦さんの出産事例のまとめ
先日、相模原で日本初となる新型コロナウイルスに感染した妊婦の出産が行われました。現在妊娠中の方は感染しないように気をつけていると思いますが、もし感染した場合に無事に赤ちゃんを産めるのかというのも気になるところだと思います。
そこで、今回は新型コロナウイルスに感染した妊婦さんの出産事例をいくつか紹介したいと思います。
新型コロナウイルスに感染した妊婦の出産事例
まず冒頭で書いた相模原の例です。こちらは日本で初めて罹患した妊婦さんの出産例となり、2020年5月8日現在、日本で新型コロナウイルに感染し、出産した例はこの1例のみになります。
ニュースによると、神奈川県相模原市にある北里大学病院で、新型コロナウイルに罹患した妊婦さんが無事に出産し、赤ちゃんに感染はなく、母子ともに無事に退院したとのことです。
出産に対応した病院は、出産直前に母親の感染が確認され、医師や看護師は防護服を着て帝王切開で出産をしたと発表しています。
出産後はすぐに別室で過ごし、母親が2回の検査でどちらも陰性になったことから赤ちゃんと共に退院をされています。
病院は新型コロナウイルスに感染した場合でも無事に出産した例があることを知ってほしいという思いで公表したとのことです。
アメリカでも感染妊婦の出産事例
2つ目の例はアメリカの例です。こちらは日本のニュースでも大きく報道されました。
東部ニューヨーク州で妊娠9ヶ月の36歳の女性が呼吸困難で集中治療室へ運ばれ、人工呼吸器をつけて昏睡状態のまま帝王切開で無事男の子を出産したと報道されました。
女性は出産後も昏睡状態が続いていましたが、懸命の治療の結果、2週間後に意識を取り戻し、子供を抱くことができるまで回復しました。
出産に対応した病院は、人工呼吸器を装着した患者の多くが助からない中、意識が戻っただけでなく、赤ちゃんを抱くまで回復したことが多くの希望となると話していたそうです。
これら2例のように、妊娠期間中に新型コロナウイルスに感染しても無事に出産、赤ちゃんへの感染が確認されていない例があります。妊婦さんにとっては安心できる例ではないでしょうか。
妊婦が新型コロナウイルスに罹患したら重症化しやすい?
次に、海外での研究事例をいくつかご紹介します。感染者数が増加している国ではその分妊婦さんへの感染も多く、出産事例も多くなっています。
まずは、C N Nのニュースからです。
アメリカニューヨーク州で新型コロナウイルスに感染が確認された妊婦さん43人の経過を調べた結果、特に妊婦が重篤化しやすい傾向はみられず、胎児に感染した例もなかったとのことです。
参考記事:感染妊婦43人の調査、重篤化の傾向みられず NY
次に中国の研究データです。
中国では新型コロナウイルスに感染した15人の妊婦さんの経過を追って研究が進められました。
15人中11人が出産し、残り4人は研究期間中にまだ妊娠中でした。
出産した11人中10人が帝王切開、1人が経膣分娩で出産、新生児仮死・新生児死亡・死産または流産の症例は報告されていないそうです。そして妊婦さん全員が回復したと報告されています。
参考記事:AJR Am J Roentgenol. 2020;
最後に、Lancet誌オンライン版2月12日版に掲載された研究データを紹介します。
こちらは中国武漢大学中南医院産婦人科のHuijun Chen氏らが検証したデータです。新型コロナウイルスと診断された9人の妊婦さんを対象としています。
9人は26〜40歳で持病はなく、全員が帝王切開で出産をしています。9人全員が出産し、新生児仮死は見られなかったとしています。研究期間中は妊婦さんの重症例も死亡例もなかったそうです。
ただ、新生児1人が出生36時間後にウイルス検査で陽性反応がありました。
陽性反応の新生児に関しては、出生後30時間後に採取されたサンプルのため、子宮内感染が発生したかどうかは不明とのことです。
研究結果からは、子宮内垂直感染を直接示すエビデンスがないことを示唆しているとしながらも、今後さらに調査が必要としています。
参考記事:Chen H ,et al, Lancet.2020 Feb 12. [Epub ahead of print]
妊婦さんは免疫力の低下から新型コロナウイルスに感染した場合、重症化しやすいのではないかと懸念がされていました。しかし、研究の結果妊娠していない人が感染した場合と重症化率はさほど変わらないというデータが発表されています。
→(2020年10月9日追記)
その後日本で「妊娠後期の妊婦さんは症状が重くなる割合が高い」と発表されました。
参考記事:【新型コロナ】妊婦が感染すると妊娠後期は症状が重くなる。妊婦さんは最大限の予防対策を。
また、母子感染に関しても懸念がされていましたが、必ず母子感染するというデータはなく、多くの妊婦さんが無事に出産をしているという事例があります。
ただ、どのデータも事例が少ないため、現時点では完全に問題ないとは言えないとしています。
まとめ
今、多くの妊婦さんが不安な思いをしていると思います。
しかし、無事に出産をしている例も多いため過度に心配せずに、まずは感染しないことを心掛けるようにしましょう。
次の記事:帝王切開で出産することに。出産にかかる費用と医療保険での備え。